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Hanna

Author:Hanna
2005年9月よりアメリカ在住
東京出身、和文化と猫とオペラが大好き!あと、ゴルフも…
(すみません。多彩な趣味の持ち主なのです。^_^;)

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グリーグの手痛い洗礼
昨日のレッスンで、
「今日はホルベルグ組曲を全部最初から最後まで弾いてみたいのですが。。。」
と提案した私に、
「それは良いアイデアだね。ミニコンサートだ!」
と朗らかに了承してくれたM氏。

そして、とりあえずプレリュードからリガデューンまで全部弾きました。
このホルベルグ組曲、ある程度まではあっさり進んだのに、そこから前に進まなくなってきました。譜面にある音符を弾くこと自体は決して難しくないけれど、なかなか格好にならないのです。この閉塞感から抜け出したくて、少々無謀だと思いながら、全曲通して弾いてみるという提案をしたのでした。続けて弾いてみれば、見えなかったものが見えてくるかと思ったりして。。。

そして弾きながら気が付いたのが、グリーグは実はモーツアルトと似ていると言うこと。
ロマン派なのに、すっかすっかなんです。
つまりごまかしは全く効かず、素っ裸な状態で勝負をしなくてはいけません。つまり裸で魅せられる音楽に仕立てなくてはいけないと言うこと。弾き流せるような無駄な音は一つもなく、全ての音に抑揚が付いていなければ格好にならない。だからこうやって立ち行かなくなるのだと。

全曲を耐え忍んで聴いてくれたM氏。すぐに最後のリガデューンから強烈なダメ出しが始まります。ダメ出しすること2時間。それでも全部終わりませんでした。プレリュードは来週へ持越し。。。毎度のことながらM氏のあの忍耐力と気力には脱帽です。2時間にわたってダメ出しをされる方もへとへとになりますが、ダメ出しをする方だってへとへとだと思います。本当にありがたい限りです。

「グリーグはミニマリストなんだよ。そう、モーツアルトと似ているよね。だからすべてに完璧でないとダメなんだ。ただ何となく抒情的に弾いても、それはグリーグの音楽じゃない。すべての音に意志を持たせなければ、彼の音楽は作れない。完璧に計算された音楽なんだよ。」
とM氏。

グリーグがこんなだって初めて知りました。子供の頃、抒情的小曲集から何曲が弾きましたが、いわゆるロマン派的な音楽だと思って、緩くそれっぽく弾いた気がします。子供でも比較的簡単に弾けるグリーグ。そしてそれもそれなりの音楽として聴こえる。でも、同じ音楽をたとえばリヒターやギレリスが弾くと全然違う音楽になる。そういうことです。モーツアルトも子供から老人まで弾くには弾けますが、音楽としては全く違うものとして出来上がってくるのと同じです。手痛いグリーグの洗礼です。もう一度一音ずつさらい直しです。

ロシアのピアニストは、グリーグを好んで弾く人が多いです。そして名演奏も多い。私の中ではやっぱりプレトニュフのグリーグが群を抜いて美しいと思います。彼のリリックの小曲集、自分が弾いたものも何曲も聴きましたが、とても同じ音楽だとは思えませんでした。

※プレトニュフ、グリーグ 抒情的小曲集から


※リヒテル、グリーグ 抒情的小曲集から
プレトニュフとはアプローチが違いますが、とても説得感のある演奏です。これぞM氏の言う、グリーグの意図した音楽そのものなのでしょう。


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テーマ:ピアノレッスン - ジャンル:音楽

Piano | 09:34:43 | Trackback(0) | Comments(0)
師匠 ショパンピアノコンチェルトを弾く
先週までメーン州で開催された音楽フェスティバルにM氏について参加していました。室内楽のフェスティバルなので、オーケストラと室内楽だけ。弦楽奏者でないのはは師匠と私の二人だけです。室内楽大好きのM氏。ピアノが必要なものには室内楽、オケ、弦の伴奏など何でも駆り出されますが、なんだって初見で弾いてしまう彼のスキルには毎回驚くばかりです。そして今回はこのフェスティバル中にM氏が弦のグループとショパンのピアノコンチェルト2番を弾くことになり、リハをステージで譜捲りをしながら見せてもらいました。

自分の師匠ながら、正直、惚れ直してしまいました。

私が一番驚いたのは、非常に男性的なショパンであったこと。彼の弾くバッハも男性的でパワフルですが、ショパンのコンチェルトをあれほどがっちりと弾いてくるとは思いませんでした。とにかく骨太。それでいて、二楽章はとろけるほど甘い。さすがはロシア人。いつも不思議に思うのですが、彼はピアノを弾いているときには普段よりも大きくがっしりして見えます。それだけポスチャーに安定感があるということなのでしょうか?

最近気を付けていることの一つに美しいポスチャーで弾く、ということがあります。どの世界にも例外というものはありますが、正しいポスチャーで弾くことは体の負担を減らして、美しい音を作る基礎になると考えています。今日のレッスンで、M氏も同じことを言っていました。ピアノを弾き始める、音を出す前の最初の動作からすべてが始まっていると。その通りだなあとつくづく思いました。

自分の師匠がオケとショパンのコンチェルトを弾いて見せてくれる。最高にラッキーな経験をさせてもらいました。私には一生縁のないようなコンチェルトの譜面を3回も通して読むことができました。


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Piano | 22:36:04 | Trackback(0) | Comments(0)
NYスタインウエイの甘いジュース
日本への1か月の一時帰国から戻ってきたNY。気が滅入ります。

いつものことながら日本にいる間はほとんどピアノを弾くことができませんでした。指も頭もあっという間に退化します。日本にいる間は、私が子供のころから練習してきたピアノで練習します。ヤマハのアップライトですが、長い長い時間を一緒に過ごしてきたバディーです。やはり愛着があって弾きやすいです。しばらく弾いていなくても鍵盤がすっと指に馴染みます。

NYに戻ってきて恐る恐る蓋を開けた今のバディー。ちょっと弾いてみたら、驚きました。
音がとにかく甘い。。。もちろん低音も高音も、ヤマハのピアノとは何もかもが違うわけですが、とにかく何とも甘い甘い音が出るのです。自分の演奏が全く別人のもののように聴こえてしまうほど。

そういえば、以前M氏とのレッスンの時にこう言われたことがありました。

「君は、家でスタインウエイに甘やかされているから、スタインウエイでないピアノを外で弾かなくてはいけないときに困るよ。スタインウエイみたいなジュースは他のピアノにはないから。」

彼は、”ジュース”という単語を使いましたが、まさにそれが私の感じた甘さそのもの。音と音の間を自然につないでくれる潤滑油のようなものとも言えるかもしれません。

ずっとスタインウエイはとにかく難しいピアノだと思い続けてきましたが、それだけではなかったらしい。NYスタインウエイが持つ、音の甘いジュース。全く何と言うピアノなんでしょうか。恐ろしくなるほどのピアノです。生きてます。

そういえば、日本で日比谷にあるスタインウエイサロンの横にあるスタインウエイのショールームを外から覗いた時に、ホロヴィッツの写真が飾ってありました。私の中では
ホロヴィッツ=NYスタインウエイ
なのですが、その写真のホロヴィッツはしっかりハンブルクスタインウエイを弾いていました。そこではハンブルクスタインウエイしか扱っていないので仕方のないことですが、ちょっと笑ってしまいました。※1、2

NYスタインウエイとハンブルクスタインウエイ、全く別物だと言うことをもっと多くの人に知ってほしいなと思うこの頃です。

※1、NYスタインウエイとハンブルクスタインウエイには、外観にいくつかの形状の違いがあります。どちらのスタインウエイかを見分ける一番簡単な方法は、鍵盤の両側にあるピアノのボディーの形を見ることです。ここに丸くカーブが付いているものがハンブルク、ここが90度にスパッと曲がっているのがNYスタインウエイです。この他にも大屋根の内側の部分やペダルを支える足の部分なども二社で異なる形状になっています。

※2、スタインウエイ社は、世界に販売テリトリーをしっかりと分けています。NYスタインウエイ社がカバーするのは、主に北米と南米だけ。それ以外、欧州やアジア、オセアニアはハンブルグスタインウエイ社の管轄になります。そのようなわけで日本にはハンブルグスタインウエイの方が圧倒的に多いわけです。日本で見かけるNYスタインウエイはほとんどかなり年代が古いものが多く、リストアされていると思います。でも、それは悪いことではなく、むしろ良いことだと私は思います。NYスタインウエイは1960年よりも前のものの方に良いピアノが多くみられるからです。(一台一台の個性が強烈なNYスタインウエイは、同じ時代であっても全くべつものなのですが・・・)


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Piano | 00:43:26 | Trackback(0) | Comments(0)
シューマン、心洗われた夜
昨日、生の演奏を聴いてみたいと長いこと願っていた吉永哲道さんの演奏会に行ってきました。場所は、日比谷にあるスタインウエイサロン(スタインウエイホールではないところが面白い。NYから文句を言われてしまうから?)。

とにかく丁寧で驚きました。一音一音全てに細やかな心配りがあり、細心の注意をはらって音が奏でられていました。そしてペダルの使い方もとても面白かった。響きのためのペダルというか、ペダルのタイミングが絶妙に計算されているようでした。音から音へつなぐペダルという感じに聴こえました。演奏者がどういう風に弾きたいのか、聴かせたいのか、とてもよくわかりました。とにかくとても感心しました。

ピアノは、ハンブルグスタインウエイ。久しぶりにあの音を聴きました。違和感を感じなくなるまでに少し時間がかかり、自分の耳はすっかりニューヨークスタインウエイの音に慣れてしまったのだと実感しました。同じスタインウエイといっても、まったくの別物です。ちなみにこのサロンのお隣には、サロンを経営する楽器屋さんのスタインウエイのショールームがあります。

オールシューマンプログラム。
組曲のパピヨンから始まって、子供の情景、小休止を挟んでデイビッド同盟と続きます。デイビッド同盟舞曲集を生で聴いたのは初めてでした。フロレスタンとオイゼビウスという二人の性格が全く異なる主役が交互に現れるように曲が並べられているのですが、吉永さんの演奏からはその二人の性格の違いが本当にはっきりと感じられました。この違う性格の二人はシューマン自身の二面性。つくづく深いなあと感動しました。

ずっと生で聴いてみたいと願い続けてきた人の演奏をついに3年越しで聴くことができた夜。非常に満足しました。そして、ものすごくモティベートされました。もっと丁寧に、真摯に音楽と向き合おうと思いました。吉永さんとM氏、どこか重なって見えました。二人とも同じ学校(モスクワ音楽院)で学ばれたからなのかもしれませんが、指の使い方も似ているように見えました。ものすごい勉強になりました。感謝です。。。

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Piano | 10:11:29 | Trackback(0) | Comments(0)
音色を操る -Schubert Standchen (Serenade)-
毎日車の中で過ごす時間が多い私にとって、Bluetoothとituneの組み合わせは救世主と言えます。ituneの中の音楽の量がどんどんと増えていきます。
先日、気が付かないうちにランダムプレーになっていて再生されたのが、
ホロヴィッツの弾くシューベルトのセレナーデ。
これはリストによって元々歌曲であるセレナーデをピアノバージョンに翻訳されたものです。さすがホロヴィッツ。いやあ、忘れてましたこの曲の存在。何て良い曲なんだろう。運転しながら、すっかり聴き惚れてしまいました。
同じメロディーが形を変えながら繰り返されていくのですが、この曲の醍醐味は声部の弾き分けだと私は思います。最初は中声部だけで始まり、最後は3声になる。この3つの異なる声部を人間の声の様に弾き分けることができると、それはそれはもうピアノとは思えないような世界が広がります。
「音色を操る」
とにかくこれにつきます。何もしなくても、それぞれの声部を奏でる音域が違うので多少の差は出ますが、音色を自由自在に操れる悪魔のようなピアニストの手にかかると、そこには3人の歌手が見えてきます。

You Tubeで色々な人の演奏を見ていると、面白い。アメリカでユジワンと並んで人気の高いグルジアのセクシーピアニストのブニアティシヴィリ(難しい名前。。)、そしておなじみランラン。どちら様も音色に関してはホロヴィッツの足元にも及ばないと思いますが(この曲に関しては)、それぞれに目指すものがあって面白い。ランランの出だしの歌い方は本当にうまくてニヤッとしてしまうほどですが、この曲に関してはあまり音色の種類は感じられないような気も。。。ブニアティシヴィリは、きっとホロヴィッツ的なセレナーデを目指しているんだろうなあ。

どうやったらもっと音色を操れる???
永遠の課題です。。。


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Piano | 10:28:20 | Trackback(0) | Comments(0)
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